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霧ヶ峰湿原植物群落は八島ヶ原湿原植物群落・踊場湿原植物群落・車山樹叢湿原植物群落および草原植物群落の3箇所からなる国指定の天然記念物です。国内南限の高層湿原群であり、霧ヶ峰固有の植物も生育するなど豊かな植生を持った学術的にも貴重な湿原です。諏訪市教育委員会では湿原保護・活用のため、木道整備や立入防止ロープ柵の設置を行っています。
400種類近くの植物が生育する自然豊かな湿原です。高地による寒冷な気候から、植物は枯れても分解されず、泥炭化してたい積し、その結果一万年の年月をかけて8m以上の泥炭層が形成されています。湿原を周回する遊歩道が整備されており、一年を通して安全に高原散策が可能です。
霧ヶ峰の最高峰である車山に隣り合う車山湿原は泥炭層の厚さから3湿原の中で最も若い湿原と考えられています。湿原の周りは木道を設置しており、車山へのハイキングや、蝶々深山を越えて八島ヶ原湿原まで至るコースも整備されています。
東西に細長く伸びている踊場湿原は、高層湿原と低層湿原を併せ持つ貴重な湿原です。湿原周辺は広大な景色が見事で、カヤツリグサ科の植物が隆起してできる「ヤチ坊主」という現象もみられます。湿原を周回するコースを一時間ほどで散策できます。
霧ヶ峰の3湿原は国の天然記念物に指定されています。湿原に特有の土壌は、特に外的損傷に弱く、立入などの行為が生態系に影響を与えます。この貴重な自然環境を保護するため、木道・ロープ柵を設置し、湿原の保全と来訪者の安全を維持しています。平成13年以降、八島ヶ原湿原・車山湿原の新規木道の設置と、湿気や歩行の衝撃で損傷が進んだ木道の改修工事を計画的に行っています。
天然記念物の敷地内では、立ち入り・植物採取などの行為が禁止されています。残念ながら、このような行為がときおり霧ヶ峰においても確認されています。諏訪市教育委員会では湿原周辺の定期的なパトロールを行い、立ち入り・採取の監視と注意喚起に努めています。
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