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なぜ“相手意識に立つものづくり”なのか

記事ID:0004246 更新日:2020年12月2日更新 印刷ページ表示

なぜ、“相手意識に立つものづくり”なのか、導入の趣旨をご説明します。

小中学生の段階では「ものづくり」そのものを楽しみ,興味を持つだけでも十分な教育的価値はあります。しかし、学校における「ものづくり活動」や「ものづくり科」の推進では、興味・関心や楽しさに浸るだけの作業学習にとどまらず、その活動の方向性やねらい、具体的な教育効果を明確にさせて、意図的・計画的に「ものづくりを通して人づくり」を推進させる必要があると考えます。

(1)全人教育としてのものづくりの視点

従来から、学校の学習や活動では、図工や技家だけでなく多くの教科学習の中に、日常的に様々な製作活動やものづくり活動を取り入れて、考え方や技術の習得、知識理解の補助などを図ってきています。それにもかかわらず、それらの日常的な製作活動と区別して「ものづくり学習」という新たな領域を設定するからには、ものづくり学習を通して、もっと鋭角的で鮮明な教育的な価値を身につけることを目指さなくてはなりません。「生きる力」の育成や「キャリア教育」の充実などの面から、長野県教育が伝統的に大事にしてきた全人教育を指向した新たなものづくりの視点が必要ではないか、そういった考えに立ち「相手意識に立つものづくり科」の構築を始めました。

(2)目的意識を持つことによる作品の質の向上

ものづくりの活動そのものには、どの子も目を輝かし、楽しみながら取り組んでいます。しかし、製作意図や製作後の使用などへの意識が弱く、雑な仕上がりでもさほど気にすることがありません。中には,雑な持ち運び方で帰宅途中に壊してしまったり、帰りに捨ててしまったりする子がいるなど、作ることを楽しみながらも自分の作った作品への愛着やよろこびが弱い児童生徒も少なくありません。明確な目的意識を持たせてものづくりをさせることを通して、正確、ていねい、集中、気配りなどを身につけ、常に作品の質の高さを求める意識をもたせることが大事です。

(3)豊かな発想や工夫を具体化

製作に当って、工夫やアイデアの豊かさを児童生徒に求め、見通しを持って手際よく製作することを教師は求めてきましたが、そのための具体的な指導や時間の確保など、きめ細かな指導は十分ではありませんでした。発想の豊かさや工夫を発揮させるためには、「誰のために」とか「そのためにどんな工夫を」など、具体的な発想や工夫を生みださせるためのイメージづくりの援助や切り込み口を与えてやることが必要であり、その積み重ねが、豊かな発想力や緻密な構想力の育成につながります。

(4)相手のことを深く意識する態度や心情の醸成

今までの学校での様々な教科における製作活動は、自分のためのものを作ることが中心になりがちでした。しかし、今は他者との協調が求められています。使い手や相手を決め、要望を聞き、その要望を実現するための工夫やアイデアを出し、ものづくりを行い、使ってもらい意見を聞いてさらに改良するという、相手意識に立ったものづくりのサイクルの考え方を体験的に学習して身に付けることを通して、日常的に相手のことを深く意識する態度や心情を醸成することができるのではないでしょうか。

(5)キャリア教育としての重要性

使い手や相手の立場に立って、細かく温かく配慮したものづくりを学習するという考え方や視点は、企業のものづくりの基本になっていて、付加価値の高い製品づくりには必須です。今後、国際間のものづくり競争がさらに激化する中、次世代のものづくりに欠くことのできない考え方を若いうちに身に付けることは、ものづくりの今後の発展に大いに寄与することができ大きな意義があることです。また、他の職業においても将来の社会生活においても、この「相手意識に立つ」考え方や視点は基本であり、キャリア教育としても重要です。

小学生の製作品の画像
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