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民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

記事ID:0076037 更新日:2026年5月18日更新 印刷ページ表示

令和6年5月17日に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法等の一部を改正する法律が成立しました。
この法律では、こどもを養育する父母の責務を明確化するとともに、親権(単独親権、共同親権)、養育費、親子交流などに関するルールが見直されており、令和8年4
月1日に施行されました。

◎こどもの未来のための親権・養育費・親子交流などに関する民法等改正の主なポイント

【1】親の責務に関するルールの明確化
 ​こどもの未来を担う親としての責任として、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。
 
1.こどもの人格の尊重
 こどもが心も体も元気でいられるように育てる責任があります。こどもの利益のため、意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。
 
2.こどもの扶養
 こどもを養う責任を指します。こどもが親と同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。
 
3.父母間の人格尊重・協力義務
 こどものためにお互いを尊重して協力しあうことが大切です。下記のようなことは、このルールに違反する場合があります(※1)
 ・暴力や相手を怖がらせるような言動、濫訴
 ・他方の親によるこどもの世話を不当に邪魔すること
 ・特段の理由なく他方に無断でこどもの住む場所を変えること(※2)
 ・特段の理由なく約束した親子の交流の実務を拒むこと
 ※1 違反した場合、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。

 ※2 暴力等や虐待から逃れることはルールに違反しません。 

【2】親権に関するルールの見直し
  1.父母の離婚後の親権者
 離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、1人だけが親権を持つ単独親権のほかに、離婚後に父母2人ともが親権を持つ共同親権を選択することができるようになります。
  2.親権の行使方法(父母双方が親権者(共同親権)である場合)
 父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されています。
 (1)親権は父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは他方が行います。
 (2)次のような場合は、親権の単独行使ができます。
 ・監護教育に関する日常の行為をするとき
  日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、こどもに重大な影響を与えないものをいいます。
   (例)食事や服装の決定、通常のワクチンの接種、習い事
 ・こどもの利益のため急迫の事情があるとき
  父母の協議や家庭裁判所の手続きを経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合をいいます。
  急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行うことができます。
  (例)暴力等や虐待から逃れるために引っ越すこと、病気やけがでこどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合等
 (3)特定の事項について、家庭裁判所の手続で親権行為者を定めることができます。
  父母が共同して親権を行うべき特定の事項について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が父又は母の請求により、父母の一方を当該事項に係る親権行使者に指定することができます。親権行使者は、その事項について、単独で親権を行うことができます。

 3.監護についての定め
 父母の離婚後のこどもの監護に関するルールが明確化されています。
 (1)父母が離婚するときは、こどもの監護の分担についての定めをすることができます。この定めをするに当たっては、こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。
 (2)離婚後の父母双方を親権者とした場合であっても、その一方を「監護者」と定めることで、こどもの監護をその一方に委ねることができます。
  このような定めがされた場合には、「監護者」は、日常の行為に限らず、こどもの監護教育や居所・職業の決定を、単独ですることができます。
  「監護者」でない親権者は、監護者がこどもの監護等をすることを妨害してはなりませんが、監護者による監護等を妨害しない範囲であれば、親子交流の機会などに、こどもの監護をすることができます。

【3】養育費の支払確保に向けた見直し
 
こどもの生活を守るために、養育費を確実にしっかりと受け取れるように、新たなルールの創設やルールの見直しが行われました。
 1.養育費の取り決めに基づく民事執行手続きが容易になり、取り決めの実行性が向上します。
  文書で養育費の取り決めをしていれば、支払いが滞った場合にその文書をもって、一方の親の財産を差し押さえるための申立てができるようになります。
 
2.法定養育費の請求権が新設されます。
  離婚時に養育費の取り決めがなくても、こどもと暮らす親が、こどもと暮らしていない親へ、こどもの養育費を請求できる制度です。離婚後もこどもの生活が守られるよう設けられました。養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものです。
 (注意)法定養育費は、父母間で取り決めるべき養育費の標準額や下限額を定める趣旨のものではありません。
 
3.養育費に関する裁判手続きの利便性が向上します。
  家庭裁判所は、養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために、収入情報の開示を命じることができることとしています。また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。

【4】安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
 こどものことを最優先に、親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。
 .家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うこと(試行的実施)に関する制度が設けられています。
  家庭裁判所は、こどものためを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し実施を促します。
 
2.婚姻中の父母が別居している場面の親子交流のルールが明確化されています。
  父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、決まらないときは家庭裁判所の審判等で決めることがルールとなります。
 
3.父母以外の親族(祖父母等)とこどもとの交流に関するルールが設けられています。
  祖父母など、こどもとの間に親子関係のような親しい関係があり、こどものために必要があるといった場合、家庭裁判所は、こどもが父母以外の親族との交流を行えるようにできます。

【5】財産分与に関するルールの見直し
 ・財産分与の請求期間が2年から5年に伸長されています。
 ・財産分与において考慮すべき要素が明確化されています。
 ・財産分与に関する裁判手続の利便性が向上します。

【6】養子縁組に関するルールの見直し
 ・養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化されています。
 ・養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続が新設されています。

 〇詳しくは、下記の法務省ウェブサイトをご覧ください。

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