○諏訪市議会基本条例
平成30年12月12日
条例第31号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第9条)
第3章 議会と市民との関係(第10条・第11条)
第4章 議会と市長等との関係(第12条・第13条)
第5章 議会の機能強化等(第14条―第18条)
第6章 他の条例との関係・検証及び見直し(第19条・第20条)
附則
諏訪市は、昭和16年に市制を施行して以来、多くの先人たちの努力により、市政の発展を遂げてきた。近年は、地方分権の進展により、地方自治体の自己責任及び自己決定の範囲が拡大され、議会が果たすべき責任や役割がますます大きくなっている。
こうした中、議会が市民の負託に応え、市民福祉の向上及び地域社会の活力ある発展を目指し活動していくためには、市民の意思を代表する議事機関であることを認識し、これまで以上にその責務を果たすことが求められている。
諏訪市議会においては、先例集という形で過去の経緯、議会のあり方を諸先輩議員より受け継ぐとともに、常に先進的な事例を取り入れ、様々な議会改革に取り組んできたところであるが、これまでの改革に満足することなく、市民参加の推進及び情報公開を積極的に進め、市民に信頼される議会を目指し、議会の機能をさらに充実するように努めなければならない。
ここに、諏訪市議会は、二元代表制のもとで、議会及び議員のあり方を明確にするとともに、市民の信頼に応え、活力あふれる議会活動を実践していくことを決意し、議会及び議員の活動の規範としてこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、市民に信頼され、活力ある議会とするために必要な基本理念を明確にし、議会及び議員の活動原則その他議会に関する基本的事項を定めることにより、議会が市民の負託に的確に応え、もって市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 公平性及び透明性を確保するとともに、市民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 市民の多様な意見を把握し、政策に適切に反映できるよう、市民参加の機会の拡充に努めること。
(3) 把握した市民の多様な意見をもとに政策提言及び政策立案の強化に努めること。
(4) 市民本位の立場から、適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。
(5) 市民の参画の意欲が高まるよう、分かりやすい視点及び方法による議会運営を行うこと。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 市政の課題全般について市民の意見及び要望を的確に把握するとともに、自己の資質を高める不断の研さんによって、市民全体の奉仕者及び代表者としてふさわしい活動をすること。
(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表の視点にとどまらず、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(グループ(会派))
第4条 議員は、議会活動を行うためにグループ(会派)を結成することができる。
2 グループ(会派)は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成する。
3 グループ(会派)は、政策の立案、提言等を行うための調査研修を積極的に行うものとする。
4 グループ(会派)は、必要に応じてグループ(会派)間で調整を行い合意形成に努めるものとする。
(議員間討議の充実)
第5条 議会の議長(以下「議長」という。)並びに常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)の委員長(以下「委員長」という。)は、議会が言論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を中心に運営し、合意形成に努めなければならない。
2 議員は、本会議及び委員会において、自らの意見、考えを丁寧に述べるとともに、他の議員の意見にも真摯に耳を傾け、議員間での討議を尽くさなければならない。
(委員会の適切な運営)
第6条 議会は、社会経済情勢により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会の適切な運営を図らなければならない。
2 委員会は、審査に当たって資料を公開し、市民に分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
3 委員会は、所管事務調査及び政策提言を積極的に実施し、その機能を十分発揮しなければならない。
(議会改革の推進)
第7条 議会は、時代の変化に対応した議会改革の取組を継続して推進するため、議員で構成する検討委員会を設置するものとする。
(議員の政治倫理)
第8条 議員は、市民の代表者としてその倫理性を常に自覚し、公正かつ誠実を基本として、良心及び責任感を持って行動し、政治倫理の向上と確立に努めなければならない。
(議会の危機管理)
第9条 議会は、災害等が発生し、又は発生するおそれがあるときは、市の災害対策本部との連携を密にし、市民の安全の確保に努めるものとする。
2 議員は、別に定める災害時行動マニュアルに基づき、議長との連携及び議員間の情報交換を図り、災害対応に当たるものとする。
第3章 議会と市民との関係
(市民参加及び市民との連携)
第10条 議会は、積極的に議会の活動に関する情報公開を行うとともに、市民に対する説明責任を十分果たさなければならない。
2 議会は、人事案件を除き、原則として本会議、委員会その他の会議を公開するものとする。
3 議会は、請願及び陳情の審議においては、必要に応じて当該請願及び陳情をした者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
4 議会は、議案に対する各議員の表決の結果を公表しなければならない。
5 議会は、市民の意見を議会運営の改善、政策提言に反映させるため、意見交換会を毎年開催するものとする。
(議会広報の充実)
第11条 議会は、議会及び市政に対する市民の関心を高めるため、すわ市議会だより、議会ホームページ等を活用し、わかりやすい議会情報の提供に努めるものとする。
2 議会は、本会議の中継や録画放送など、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用し、議会広報の充実に努めるものとする。
第4章 議会と市長等との関係
(市長等との関係の基本原則)
第12条 議会は、二元代表制に係る市長との立場及び権能の違いを踏まえ、緊張ある関係を構築し、事務執行の監視及び評価を行うものとする。
(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、論点及び争点を明確にして行うものとする。
(2) 市長等は、議員の質疑又は質問に対し、議長又は委員長の許可を得て趣旨確認の発言をすることができるものとする。
(3) 議会は、市長が提案する重要な政策について、議会審議における論点を明確にし、その政策水準を高めるため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
ア 政策を必要とする背景
イ 提案に至るまでの経緯
ウ 他の自治体の類似する政策との比較検討
エ 市民参加の実施の有無とその内容
オ 総合計画との整合性
カ 法令及び条例との関係
キ 財源措置
ク 将来にわたる効果及び費用
ケ その他議会が必要と判断する事項
(4) 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前号の規定に準じて、市長等に対し分かりやすい施策別又は事業別の説明を求めるものとする。
(5) 市長等の事務執行が適正かつ公平及び効率性をもって行われているかを監視し、評価するとともに、必要があると認めるときは、適切な措置を講ずるよう求めるものとする。
(議会の議決事件)
第13条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定による議会の議決に付すべき事件は、総合計画における基本構想とする。
2 議会は、議決事件を追加し、又は削除する場合は、その理由及び根拠を明確にしなければならない。
第5章 議会の機能強化等
(議員研修の充実強化)
第14条 議会は、議員の政策立案能力及び政策提言能力の向上のため、多様な研修の機会を設けるよう努めなければならない。
(政務活動費)
第15条 議員は、諏訪市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年諏訪市条例第19号)の規定に基づく政務活動費を有効に活用し、市政に関する調査研究その他の活動を積極的に行うものとする。
2 議員は、政務活動費の適正な執行に努め、その使途については市民に対して説明責任を負う。
3 議員は、政務活動費を活用した調査研究その他の活動の結果について、議長に報告するとともに、議会活動の場に生かしていくよう努めなければならない。
4 議長は、政務活動費の全ての支出の証拠を明確にし、公表するとともに、政務活動費の透明性の向上に努めるものとする。
(議員定数)
第16条 議員定数は、諏訪市議会議員定数条例(平成12年諏訪市条例第26号)で定める。
2 議会は、前項の議員定数を改正しようとするときは、行財政改革の視点だけでなく、市政の現状と課題及び将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、広く市民の声を聴取し、議会の機能を果たすために必要な数とするものとする。
(議員報酬)
第17条 議員報酬は、諏訪市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和31年諏訪市条例第28号)で定める。
2 議員報酬は、行財政改革の視点だけでなく、市政における議員の職務及び職責を十分に考慮するとともに、多様な人材が議員として活動できる環境整備の観点も踏まえ、市政の現状及び課題並びに将来の展望を考慮して定めるものとする。
3 議員報酬の改正を委員会又は議員から提案する場合は、市民の意向を十分に把握した上で、本市の実情にあった議員報酬を検討し、明確な改正理由を示すものとする。
(議会事務局の体制整備)
第18条 議会は、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査機能及び法務機能の強化並びに組織体制の整備を図るよう努めるものとする。
2 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するために必要な予算の確保に努めるものとする。
第6章 他の条例との関係・検証及び見直し
(他の条例との関係)
第19条 この条例は、議会及び議員の活動原則等議会の基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。
2 議会は、議員にこの条例の理念を理解させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、同条例に関する研修を行うものとする。
3 議会及び議員は、この条例及び議会に関する他の条例、規則や先例集等を遵守して議会を運営するものとする。
(検証及び見直し手続)
第20条 議会は、必要に応じてこの条例の目的が達成されているかについて検証を行うものとする。
2 議会は、前項の検証の結果、議会に関する条例、規則、先例集等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講ずるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和3年12月17日条例第21号)
この条例は、公布の日から施行する。