○諏訪市中高層集合住宅建築物の建築に関する条例
平成17年3月18日
条例第4号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 標識の設置及び事前協議等(第6条―第9条)
第3章 良質な集合住宅の確保(第10条―第14条)
第4章 良好な近隣関係の維持向上(第15条―第19条)
第5章 高齢社会への対応(第20条・第21条)
第6章 雑則(第22条―第26条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、中高層集合住宅建築物の建築に関する基本的事項を定めることにより、良質な集合住宅の確保、良好な近隣関係の維持向上及び高齢社会の進展に対応した居住環境の整備を図り、もって快適な住環境及び生活環境の形成に資することを目的とする。
(1) 中高層集合住宅建築物 地階を除く階数が4以上で、かつ、住戸数が20以上の共同住宅(その他の用途を併用する場合を含む。)の用途に供する建築物をいう。
(2) 住戸の専用面積 規則で定める基準により算出した住戸(寄宿舎又は下宿等の住室を含む。)の床面積をいう。
(3) 建築 建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第2条第13号に規定する建築又は法第87条第1項において準用する法第6条第1項及び第6条の2第1項に規定する確認を必要とする用途の変更をいう。
(4) 建築主 中高層集合住宅建築物の建築に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
(5) 所有者等 中高層集合住宅建築物の所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)第2条第2項に規定する区分所有者は除く。以下同じ。)及び所有者から委託を受けて中高層集合住宅建築物の管理を行う者をいう。
(6) 工事施工者 中高層集合住宅建築物の建築に関する工事の請負人をいう。
(7) 宅地建物取引業者 建築主又は所有者等から中高層集合住宅建築物の売買又は貸借の代理若しくは媒介を委託された宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第3条第1項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者をいう。
(8) 入居者等 建築主、所有者等又は宅地建物取引業者から、中高層集合住宅建築物の住戸、店舗、事務所その他これらに類するものの用途に供される部分を取得した者(取得しようとする者を含む。)又は借り受けた者(借り受けようとする者を含む。)をいう。
(9) 近隣関係住民 次のいずれかに掲げる者をいう。
ア 中高層集合住宅建築物の敷地境界線から当該中高層集合住宅建築物の高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者
イ 中高層集合住宅建築物によるテレビ電波受信障害の影響を著しく受けると認められる者
(10) 隣接住民 前号アに規定する者のうち、次のいずれかに掲げるものをいう。
ア 中高層集合住宅建築物の敷地境界線から当該中高層集合住宅建築物の高さと等しい水平距離の範囲内に居住する者
イ 中高層集合住宅建築物による冬至日の午前8時から午後4時まで日影が及ぶ範囲内に居住する者
(適用範囲)
第3条 この条例は、市内に建築される中高層集合住宅建築物について適用する。
(市長の責務)
第4条 市長は、この条例の目的を達成するため、建築主及び所有者等の理解と協力の下に、建築主及び所有者等に対し、中高層集合住宅建築物の建築に関する基本的事項について適切な指導及び助言を行うよう努めなければならない。
(建築主及び所有者等の責務)
第5条 建築主及び所有者等は、良質な集合住宅の確保、良好な近隣関係の維持向上及び高齢社会の進展に対応した居住環境の整備を図り、快適な住環境及び生活環境の形成に努めなければならない。
2 建築主及び所有者等は、中高層集合住宅建築物を建築することにより近隣に居住する住民との紛争が生じた場合は、誠意を持ってその解決に当たるものとする。
第2章 標識の設置及び事前協議等
(標識の設置)
第6条 建築主は、中高層集合住宅建築物を建築しようとするときは、当該建築敷地内の見やすい場所に、規則で定めるところにより、標識を設置しなければならない。
2 建築主は、中高層集合住宅建築物にワンルーム住戸(専用面積が29平方メートル未満の住戸をいう。)が存する場合は、前項の標識にその旨及びその戸数を明示しなければならない。
3 建築主は、第1項の標識を設置したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
(隣接住民への戸別訪問による説明等)
第7条 建築主は、前条第1項の標識を設置したときは、隣接住民に対し、速やかに中高層集合住宅建築物に係る建築計画のうち規則で定める事項について戸別訪問の方法により、説明を行わなければならない。ただし、長期間の不在等により説明を行うことができず、かつ、説明に代え規則で定める事項について文書により周知をした隣接住民については、この限りでない。
3 建築主は、隣接住民から前2項に規定する説明又は周知の内容に関し説明会の開催を求められたときは、速やかに説明会を開催しなければならない。
4 建築主は、近隣関係住民から規則で定める事項に関し説明を求められたときは、速やかに説明会の開催その他の方法により、説明を行わなければならない。
5 建築主及び所有者等は、近隣関係住民との間で工事協定又は一般協定等(以下「協定等」という。)を締結するよう努めるとともに、締結した協定等を遵守しなければならない。
6 建築主及び所有者等は、当該建築物の所有権を承継した者がいる場合は、その者に対し、協定等の内容について文書により周知しなければならない。
(事前協議書等の届出)
第8条 建築主は、第6条第1項の標識を設置したときは、速やかに規則で定める事前協議書を市長に届け出て、協議しなければならない。
2 建築主は、前項に規定する通知を受けた後に中高層集合住宅建築物の所有権を第三者に譲渡するときは、当該協議の内容を当該第三者に承継させなければならない。
第3章 良質な集合住宅の確保
(住戸の規模)
第10条 建築主は、中高層集合住宅建築物の住戸の専用面積を20平方メートル以上としなければならない。
2 建築主は、中高層集合住宅建築物が家族向住宅の場合にあっては、住戸の専用面積を40平方メートル以上に、中高齢単身者向住宅の場合にあっては、25平方メートル以上になるよう努めなければならない。
(駐車施設の設置)
第11条 建築主は、中高層集合住宅建築物又はその敷地内に、規則で定める基準に従い、自動車、自転車及び原動機付自転車のための駐車施設を住戸数に応じて設置するよう努めなければならない。
(防犯安全対策)
第12条 建築主及び所有者等は、中高層集合住宅建築物の安全な環境を確保するため、防犯対策上効果的な設備の設置等に関して、当該管轄の警察署と協議するものとする。
(良好な景観の形成)
第13条 建築主は、中高層集合住宅建築物の位置、形態、外観の色彩及び意匠について、周辺の良好な建築物及び街並みとの調和を図るよう配慮し、良好な景観の形成に自ら努めなければならない。
(緑化等の推進)
第14条 建築主は、中高層集合住宅建築物の自然環境に関する快適性を確保するため、敷地内の良好な自然的環境の保全に努めるとともに、敷地内の緑化を推進するものとする。
第4章 良好な近隣関係の維持向上
(外壁後退)
第15条 建築主は、中高層集合住宅建築物の外壁面又はこれに代わる柱の面から隣地境界線までの距離を1メートル以上確保するよう努めなければならない。
(工事中の騒音の低減等に係る措置)
第16条 建築主、所有者等及び工事施工者は、中高層集合住宅建築物の建築に際し、工事中の騒音の低減、隣接家屋のプライバシーの確保その他規則で定める必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(管理人室の設置等)
第17条 建築主及び所有者等は、規則で定める基準に従い、中高層集合住宅建築物に管理人室を設置しなければならない。
2 建築主及び所有者等は、規則で定めるところにより、中高層集合住宅建築物を適正に管理しなければならない。
3 建築主及び所有者等は、規則で定める入居者等に対する管理上の遵守事項を管理規約又は使用細則に規定するものとする。
(落下物による危害防止措置)
第18条 建築主は、中高層集合住宅建築物の道路に面する側に窓その他規則で定めるものを設けるときは、震災時における落下物による危害防止のため、規則で定める措置を講じなければならない。ただし、避難階についてはこの限りでない。
(商店街の振興)
第19条 建築主は、商店街が形成されている地域に中高層集合住宅建築物を建築しようとするときは、当該商店街に存する商店会組織と協議し、商店街の振興に配慮するよう努めるものとする。
第5章 高齢社会への対応
(高齢者の入居への配慮)
第20条 建築主は、高齢者の入居への配慮として、当該敷地に接する道路から住戸に至る主要な経路を規則で定める事項に適合させるよう努めなければならない。
(高齢者の居住に配慮した住戸の設置)
第21条 建築主は、建築計画に係る中高層集合住宅建築物の住戸の総戸数の10分の1以上を規則で定める高齢者の居住に配慮した住戸としなければならない。
第6章 雑則
(工事の完了の届出等)
第22条 建築主は、中高層集合住宅建築物の工事が完了したときは、規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。
3 前項の規定により調査を行う職員は、規則で定めるところにより、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(建築主及び所有者等に対する要請)
第24条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、建築主及び所有者等に対し、必要な措置を講ずるよう要請を行うことができる。
(勧告及び公表)
第25条 市長は、次の各号に掲げる建築主及び所有者等に対し、特に必要があると認めるときは、その行為を是正させるための勧告を行うことができる。
(1) 第6条第1項の標識を設置しない者
(4) 第22条第1項の規定による届出をしない者
(5) 第24条の規定による要請に応じない者
2 市長は、前項の規定による勧告に従わない者に対し、特に必要があると認めるときは、その旨及び氏名(法人の場合は名称及びその代表者名)の公表を行うことができる。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日前に、諏訪市建築物指導要綱(平成元年諏訪市告示第30号)の規定によりなされた手続その他の行為は、この条例の相当の規定によりなされた手続その他の行為とみなす。